【ネタバレ】やれやれ。村上春樹『街とその不確かな壁』の、うすーい感想【2023年4月13日発売】

サブカル
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発売日(2023/4/13)に購入したものの、なんか読むスピードが遅くなって…やっと読了(笑)。
ファンのくせに、読み終わるまで約2か月半ほどかかったようです(苦笑)。

名前:くま(♂)
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【そもそも】村上春樹『街とその不確かな壁』とは…?

ファンの皆さんはもうご存じかと思うが、今回の村上春樹の新作『街とその不確かな壁』は、1980年に発表された「街と、その不確かな壁」という短編だか中編の小説が母体となっている。なお、この作品は文芸誌に発表されたものの、単行本にはなっていない。
ほー。
その幻の作品「街と、その不確かな壁」(1980年)はその後、代表作『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』(1985年、新潮社)に発展したもののそれはそれとして、村上春樹は「街と、その不確かな壁」の出来に不満を持っており今回やっとその決着をつけることができたらしい。
なんとなく作品の立ち位置のようなものがわかった気がします。

『街とその不確かな壁』の母体となったのは、村上春樹が過去発表した「街と、その不確かな壁」(『文學界』1980年9月号、今回の長編小説と同名だが「、」が付いている。)という中編小説である。この小説は書籍化されたことがなく、やがて『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』(1985年、新潮社)に発展し吸収された。
(中略)
 作品中に登場するのは17歳の「ぼく」と中年になった「私」である。「ぼく」は16歳の「きみ」と交際しているが、「きみ」は突然姿を消してしまう。一方の「私」は、自分の影と分かれて「高い壁に囲まれた街」で静かに暮らしている。これが作品世界の設定だが、他の村上春樹作品同様に不思議なことが次々に起こっていく。そもそも「自分の影と分かれて暮らしている街」とは何なのか。それこそが、この作品の核心といってもよい。「街と、その不確かな壁」(1980年)『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』(1985年)『街とその不確かな壁』(2023年)に共通する設定・課題がそれである。「堅く高い壁によって囲まれた街」「影を失って生きる人たち」。この「壁」とは何か、「影」とは何か、ということが当然疑問になる。しかし、それらは作品中に明確には描かれていないし、明確にしようともしていない。それは小説を受け取る私たちに委ねられている。

出典:yab.yomiuri.co.jp

村上春樹、6年ぶりの最新長編1200枚、待望の刊行! その街に行かなくてはならない。なにがあろうと――〈古い夢〉が奥まった書庫でひもとかれ、呼び覚まされるように、封印された“物語”が深く静かに動きだす。魂を揺さぶる純度100パーセントの村上ワールド。 ‎ 新潮社 (2023/4/13)

…というわけで、以下、ネタバレ。僕の、うすーい感想を残しておく。
また謙遜して(笑)。一応、村上春樹作品はすべて読んでいるんでしょ?
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【17歳】夏の夕暮れ【二度と戻らぬ青春】

※画像はイメージです。

この年になると、10代の恋を40代まで引っ張るのはキツイなあ…と思ってしまう。ゆえに、そのへんに共感できなくてページが進まなかったというのは正直、ある。これが20代の時だったら共感できたかもしれない。
年を取りましたね(苦笑)。
で、初恋の相手、16歳で消えた彼女とは一体何者だったのか?どうしていなくなったのか?
それが最後に判明するんですね。
いや、結局わからず仕舞。
えええええ。
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【世界の終わり】壁に囲まれた街、一角獣、夢読み【ワンダーランド】

※画像はイメージです。

出典:ja.wikipedia.org

初恋を失った主人公、その後の人生でそれなりの恋愛はあったらしい。しかし、そうこうしているうちにいつしか恋人もいないまま40代となる。そして村上ワールドのお約束、異世界へ。
いわゆる異世界もの?
「異世界もの」っていうと最近のマンガっぽいけど村上春樹の小説には昔からそーいう不思議な世界が登場するからね。今回の「壁に囲まれた街」も『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』に登場する異世界っぽいけど、また違った世界。それは16歳の少女と17歳の少年がつくった世界だという。
ちょっとよくわかりませんが、自分たちが10代の頃に想像してつくった世界に、彼女を失って中年になった主人公が入っていくんですね。
ま、そういうとこかな。そこは「壁に囲まれた街」で、「一角獣」がいて、主人公はその世界の図書館で「夢読み」という仕事をし、そしてそこで16歳の彼女と再会する。
ちょっとキモくないですか?(苦笑)
少年少女ではなく、オッサンが迷い込むわけだから、キモいっちゃキモイか?
です(笑)。
まー、でも、こーいう世界観に没頭するのも村上春樹を楽しむ醍醐味だから。そして、あれこれあって、一旦主人公はこの世界から現実の世界へと戻ってくる。
ちょっと話の流れがわかりませんが、現実と異世界を行ったり来たり、のようですね(苦笑)。
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【転職】見知らぬ町の図書館【酒蔵を改装した図書館】

※画像はイメージです。

出典:kumamoto.guide

なぜか現実に戻った主人公だが…長く務めた会社をやめて転職することになる。転職先はこれまでまったく知らない土地の図書館。司書の資格を持ってないし、給料も下がるけど、異世界から戻った主人公は転職を決意する。
まったくもって非現実的な主人公です。異世界にしばらくいたので、何かが変わってしまったのでしょうか?
まー、そういうことかもね。これまでの会社で無難な人生を送ってきたが、自分の中の何かが変わったのであろう。そして、転職先の図書館は、一応その町の名前を冠した図書館だが、実質は町の有力者がお金を出して作った私設図書館みたいなものらしい。酒蔵を改装して作ったんだって。
なんか居心地は良さそうな図書館ですね。
居心地いいらしいよ。でもそこには幽霊が出る。
ええええ。
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【悲劇】子安さんの人生【スカート】

※画像はイメージです。

出典:withnews.jp

その幽霊というのは、この図書館を作ったお金持ち、子安さんというオジサンいやおじいさんかな。子安さんはベレー帽をかぶってスカートを履いたおじいさん。
意味がわかりません(笑)。
町の名士であった子安さん、実はあり得ないような不幸で妻と子を同時に無くしてしまう。ずっと独身のまま、失意の中で生きてきた子安さんだったが、いくらか時間が経った後、実家の酒屋さんをたたんで財団をつくり、そしてこの図書館を開設したらしい。
人にはいろんなドラマがあるんですね。
図書館作った頃から、それまでふさぎ込んでいた子安さんも不幸から立ち直りある程度快活になったという。ただ、その頃からちょっと奇抜な恰好をするようになったらしい。でも、町の名士だし、彼の不幸もみんな知っているから、似合わないベレー帽をかぶっていようが、スカート履いてようが、町の皆さんは子安さんにこれまで通り敬意をはらって接した。ま、誰からに迷惑かけてるわけじゃないからね。
で、その後亡くなって幽霊になったんですか?
主人公がこの町にやってくる少しまえに子安さんは亡くなったらしい。ただ主人公を新しい図書館の館長に選んだのも子安さんだし、主人公と子安さんは対面で仕事の引継ぎを行っている。主人公は最初は幽霊としらずに接していて、しばらくしてから実は子安さんが幽霊だと知ることになった。そして、主人公は幽霊の子安さんに生身の人間以上に親しみを持ち、大切な相談相手だと感じているんだよねえ。
なんか話を聞くだけだと、かなり荒唐無稽な話に聞こえますが、きっと小説で読めば説得力があるんでしょうね(笑)。
説明が下手で悪かったな!
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【喫茶店】ブルーベリーマフィン【貞操帯】

※画像はイメージです。

出典:www.kewpie.co.jp

考えてみたら、今回の作品はセックスシーンが一度も出てこない。村上作品にしては珍しい。
そうなんですか?
小説の中で多少なりともエロティックなシーンは、17歳の頃のやりとりと、図書館のある田舎町での喫茶店バツイチ女マスターとの淡い恋愛のみ。
そこの喫茶店はバツイチの女性が経営しているんですね。
東京から誰も知らない町にひとりやってきた主人公と同じく、彼女も北海道からひとりこの町にやってきて喫茶店の経営を始めたらしい。間もなく二人は仲良くなるのだが、彼女はセックスを全く受け入れられないという性癖(?)があった。いつも貞操帯みたいなキツイ鎧をつけているらしい。
…。
というわけで、過激なシーンはこの小説には登場しない(笑)。
ところで、ブルーベリーマフィンとは?
この喫茶店で主人公がいつも美味しそうに食べている。店内にはいつもジャズが流れていて、村上作品の大きな魅力である食べ物と音楽は、この喫茶店絡みで登場する。
なるほど。
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【少年】イエローサブマリン【サヴァン症候群】

※画像はイメージです。

出典:www.universal-music.co.jp

物語も中ほどを過ぎ、ストーリーを完結させるためのキーパーソンが登場する。
イエローサブマリンの少年?
ビートルズの映画「イエローサブマリン」のTシャツを着た少年。
ほー。
僕が10代半ばで村上春樹の小説を読み始めた頃、音楽や映画、小説などのカルチャーに圧倒的な知識を持った村上春樹が発するキーワードに、いつも新鮮な衝撃を受けたものだったが、僕も中年となってそれなりの文化を吸収して生きてきたので、昔ほど村上作品が提供するキーワードが響かなくなってきた。え?またビートルズ?みたいな(笑)。だから、この少年を象徴するイエローサブマリンというイメージに対しても、最近の少年がなんでビートルズ?と思ってしまった。ネガティブな感想ですまん(笑)。
もし10年20年と残っていく作品なら、かえってビートルズなど評価が確立されたアイコンがよいとも考えられます。
ま、そりゃそうだ。しかしこの少年、サヴァン症候群だかなんかで、物凄く記憶力がいいという設定。学校や社会に馴染めないので一日中図書館にいて、本を片っ端から読み続けている。この少年がクライマックスで、あーなって、こーなって、最後はキレイに物語は完結、以上。
なんですか、その投げやりな説明。ネタバレですが、クライマックスについてはまだ読んでない方を考慮してくれてるんですね(笑)。自分でちゃんと小説を読まないとわからないようです。
まとめると…村上春樹の魅力をギュッと濃縮した小説ではある。ストーリーも僕はわかりやすいと思ったし、最後もキレイにまとまったと思う。村上春樹で何か一冊と言われたときにオススメできる本かもしれない。最近の、宮崎駿「君たちはどう生きるか」、山下達郎「SOFTLY」同様、手練れの集大成みたいな作品とも言えよう。
あら。なかなかの評価じゃないですか。
でも、村上春樹には昔から期待が大きいから、何か僕らの想像を超えるような、新しい要素も欲しかった気もしなくはない。まあ、でも裏切らない老舗の味ということで、これでいい…かな?(笑)
総合的には、ポジティブな感想のようですね(笑)。
うん。裏切らない老舗の味ということでオススメ!

村上春樹、6年ぶりの最新長編1200枚、待望の刊行! その街に行かなくてはならない。なにがあろうと――〈古い夢〉が奥まった書庫でひもとかれ、呼び覚まされるように、封印された“物語”が深く静かに動きだす。魂を揺さぶる純度100パーセントの村上ワールド。 ‎ 新潮社 (2023/4/13)

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