やっぱり「キャプテン翼」ですか? あと「ファンタジスタ」、「ジャイアント・キリング」、最近では「アオアシ」?「ブルーロック」?
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【知ってる?】隠れたサッカー漫画とは…?!
出典:「みゆき」1巻(小学館)
やっぱり「キャプテン翼」ですか? あと「ファンタジスタ」、「ジャイアント・キリング」、最近では「アオアシ」?「ブルーロック」?
甘いな。隠れたサッカー漫画の名作を教えてあげよう。Wikipediaの「サッカー漫画」の項目ですら見落としている作品があるのだ。
出典:ja.wikipedia.org
隠れたサッカー漫画にして、巨匠・あだち充の最高傑作! それは「みゆき」(1980年~1984年/『少年ビッグコミック』小学館)だよ、「みゆき」。
出典:ja.wikipedia.org
え?タイトルはきいたことあります。「みゆき」ってサッカー漫画なんですか?
みゆきとみゆき。六年ぶりに再会した妹・みゆきと、同級生のみゆきちゃん。二人はとってもかわいいのです。だから、ぼくの悩みは増すばかり。抱き合って眠れたら……もう死んでもいい!!
【ムフ♡】ホントにサッカー漫画? あだち充の「みゆき」はラブコメの元祖
出典:「みゆき」1巻(小学館)
え~と(検索中)、Wikipediaには、「同氏の代表作の一つに数えられ、ラブコメディにスポーツを絡めた青春モノを得意とする作品群の中でも、本作品は恋愛のみにスポットを当てている。いわゆる『妹萌え』の先駆けでもある。」とあります。ホントにサッカー漫画なんですか?
出典:ja.wikipedia.org
作者は、「単にかわいい妹を描きたかったんですよ。妹がいない自分の妄想です(笑)。で、スポーツ抜きでどれだけもたせられるかなぁ、というところではじめたんですけどね……持ちました!」と語っています。
出典:ja.wikipedia.org
出典:「みゆき」4巻(小学館)
「みゆき」は、主人公の若松真人と、その同級生で彼女の鹿島みゆき、そして、血の繋がりのない妹・若松みゆきとの三角関係を、コメディータッチで描いたマンガ。その後の…いわゆるラブコメ・ブームのきっかけになった作品といってもいいだろう。スポーツものから少し距離を置くことで、逆にあだち充の魅力が輝いた作品といえる。
それで、「みゆき」のどこがサッカー漫画なんですか?
「みゆき」はともかく、あだち充って、代表作の「タッチ」をはじめ、「ナイン」、「H2」、「クロスゲーム」…ほとんどが野球漫画っていっていいくらい。
そうですよね。え~と(検索中)、ボクシング漫画もありますが、ほとんどが野球ですね。比較的最近の「MIX」も野球漫画です。
出典:ja.wikipedia.org
え~と(検索中)、あ! 僕はこのマンガを読んだことはありませんが、Wikipediaを見ると、確かに、「幼馴染でサッカー日本代表のスター選手になった沢田優一」という登場人物がでてくるみたいですね。
出典:ja.wikipedia.org
見つけた? よし、じゃあ、「みゆき」のサッカー要素を解説しよう! ちなみに昔は、「日本代表」じゃなくて「全日本」って言ってたね。「みゆき」でもそう呼ばれている。
【元祖サッカー漫画】あだち充「みゆき」にちりばめられたサッカー要素
出典:「みゆき」1巻(小学館)
「みゆき」の舞台も学園生活だから、随所にスポーツのシーンが出てくるんだけど、あだち充は、この作品ではあえて野球描写を避けているフシがある。おそらく、いつもと違う雰囲気の作品にしたかったんだろうね。そして、その流れで、男子がスポーツをしている場面は、あだち作品に珍しくサッカーのシーンが多い。
出典:「みゆき」6巻(小学館)
出典:「みゆき」6巻(小学館)
出典:「みゆき」8巻(小学館)
言わせてもらうけど、「みゆき」がなかったら、ちば拓の「キックオフ」もなかったからね。
ちば拓さんの「キックオフ」ですか? え~と(検索中)…あ、80年代の「ラブコメ×サッカー漫画」、こんな作品があるんですね。
さらにいうと、僕は「みゆき」がなかったら「キャプテン翼」もなかったと思ってるくらい。「キャプテン翼」の原作者・高橋陽一の絵って、あだち充をリスペクトしてるでしょ?
出典:「みゆき」2巻(小学館)
高橋陽一はあだち充の影響を相当受けてると思うよ。特に「キャプテン翼」連載開始時なんかね。
【サッカーシーン連発】クライマックスへの布石か?サッカー部のエース中条くん
出典:「みゆき」6巻(小学館)
単行本の6巻に登場するのは、サッカー部のエース中条。若松みゆきをめぐって、ヤンキー風の間崎竜一と対決するエピソードがある。若松みゆきは、学校でもモテモテなんだよね。
出典:「みゆき」6巻(小学館)
物語中盤のこのさりげないエピソードは、サッカー漫画としての「みゆき」にとって、クライマックスへのさりげない布石だと、僕は思っている。
出典:「みゆき」6巻(小学館)
【ムフ♡】ちょっと休憩~あだち充の本性が暴走する!
出典:「みゆき」5巻(小学館)
最初に言ったように、あだち充の王道である野球を外れたことで、逆に、作家の魅力が倍増している。あだち作品の重要な魅力である、日常のさりげないエロが…「みゆき」では過剰に描かれているんだよ。本人も描いていて楽しかっただろうねえ。
出典:「みゆき」6巻(小学館)
そこは「えええ」じゃないよ、そういうときは「ムフ♡」っていうの!
出典:「みゆき」7巻(小学館)
出典:「みゆき」7巻(小学館)
【物語も佳境へ】サッカー日本代表・沢田優一が登場し、物語はクライマックスへ!!
※ネタバレが嫌な方はご注意ください。
出典:「みゆき」11巻(小学館)
さて、クライマックスが近づいてきて、重要なキャラクターが現れる。
出典:「みゆき」11巻(小学館)
彼の登場で、これまでの平凡の日常、静かな三角関係に波風が立ち始めるよ。
出典:「みゆき」11巻(小学館)
彼の名は「沢田優一」。ドイツの大学に通っていて、海外のプロサッカーチームからも誘われてる逸材。そしてなんと、主人公たちの幼馴染であった。
出典:「みゆき」11巻(小学館)
ちょっとここで人間関係を整理しておこう。若松真人と鹿島みゆきは恋人同士なんだけど、真人と一緒に暮らす若松みゆきも実は血の繋がりがなくて、この兄妹もお互い惹かれあっている。学校でもモテモテの若松みゆきに恋人はいないのはこの真人のせいじゃないかというのは周りのみんなもうすうす感じている。その微妙なバランスの中に、このドイツ帰りのサッカー日本代表が割って入ってくる。彼はもともとこの兄妹のいいお兄ちゃん的存在だったんだけど、美しく成長した若松みゆきに惹かれて、強引なサッカースタイルよろしく、アタックを始めるんだね。
なるほど。「起承転結」でいうと、ここで物語の「転」がきたんですね。
出典:「みゆき」11巻(小学館)
さて、どうなるか? その前に、この重要なキャラクター「沢田優一」について歴史的考察。おそらくマンガの設定で「サッカー日本代表」という属性を使ったのは、マンガ史上「みゆき」が初めてじゃないかな?
へー。そう考えると「みゆき」が隠れたサッカー漫画と言うのも、大げさじゃないかもしれません。
出典:「みゆき」12巻(小学館)
ま、結論からいうと、サッカー日本代表・沢田優一は若松みゆきからフラれちゃうんだよね、なんと結婚式の当日に。
やっぱり、血のつながらない兄妹は愛し合っていたという結末ですか…。主人公とずっとつき合っていた鹿島みゆきさんも可哀想ですね。
そこは、さすがあだち充だよ。キレイなエンディングが準備されてるよ。
【想い出がいっぱい】感動の最終回!二人のみゆきはどうなる?【大人の階段のぼる】
※ラストシーンを引用しています。ネタバレが嫌な方はご注意ください。
あだち充「みゆき」は、マンガ連載からまもなくアニメ化されたんだよね。アニメのエンディングテーマはご存知、大ヒットした「想い出がいっぱい」。今でも卒業シーズンにはよく聴くだろう。
この曲はマンガの世界観にとてもマッチしていた。僕が特に好きなのは、「一人だけ横向く 記念写真だね」って歌詞、まさに、若松みゆきのキャラクターを表してると思う。
そして、マンガの最終回はこの主題歌を効果的に使って、一歩間違えば後味悪くなりそうな恋愛の別れを、新しい恋愛の始まりとしてキレイに演出している。最後のシーンを引用するね。
心の中で、「想い出がいっぱい」のメロディーを思い出しながら見てみましょう。
出典:「みゆき」12巻(小学館)
出典:「みゆき」12巻(小学館)
出典:「みゆき」12巻(小学館)
出典:「みゆき」12巻(小学館)
出典:「みゆき」12巻(小学館)
出典:「みゆき」12巻(小学館)
出典:「みゆき」12巻(小学館)
いつも背中あわせのふりしてた、兄・真人と妹・みゆき!!だけど、いつの日か“その時”が来ると信じて、愛を育んできた二人!!やがて、昨日が過ぎ去って、今はただ…いつまでも二人だけ!!