今度、久しぶりに東京行く。行きの飛行機で聴くBGMはこれにしよう。ある意味、昨日の僕に会いに行く旅だからね。
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ユーミン12枚目のオリジナルアルバムにして、17年連続1位という記録の始まりとなる一枚『昨晩お会いしましょう』(1981年11月1日発売)
この後ろ姿の女性。てっきりユーミンかと思っていたけど、単に後ろ姿が似ている女性を起用したらしい・・・。
このジャケットのデザインは、ロックファンにはピンク・フロイドのアルバムジャケットでお馴染み、ヒプノシスによるもの。ちにみに、ユーミンのこの後のアルバム「ボイジャー」もヒプノシスだよ。
え~と(検索中)・・・ウィキペディアに「ユーミンに後ろ姿が似たモデルを起用」って記載がありますね。ヒプノシス(Hipgnosis、1968年 – 1983年)とは、イギリスのデザイン・アートグループなんですね。1970年代を中心に「ピンク・フロイド」「ジェネシス」「レッド・ツェッペリン」ら数々のアーティストのカバーアートを創作しました。音楽界において、アルバムジャケットに芸術性を持たせた草分け的存在とあります。
出典:ja.wikipedia.org
↓おなじみピンク・フロイドのアルバムジャケット
↓ユーミンの1983年のアルバム「VOYAGER」
『昨晩お会いしましょう』は・・・ユーミンのすべてのアルバムの中で、僕が一番好きなアルバムかもしれない。
え~と(検索中)・・・、このアルバムから始まって、17年間、17枚連続で、オリジナルアルバムが最高位1位を獲得するという快挙を成し遂げたそうです。まさに伝説の始まりですよね。
出典:ja.wikipedia.org
そんな記録なんてどうでもいいんだよ。僕は特に、レコードでいうとA面を何度聴いたかわからない。「街角のペシミスト」、「ビュッフェにて」、「夕闇をひとり」の流れが切なくて切なくて・・・。
[収録曲]
1.タワー・サイド・メモリー
2.街角のペシミスト
3.ビュッフェにて
4.夕闇をひとり
5.守ってあげたい
6.カンナ8号線
7.手のひらの東京タワー
8.グレイス・スリックの肖像
9.グループ
10. A HAPPY NEW YEAR
出典:『昨晩お会いしましょう』
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今日は、全曲解説をしよう。気のきいた補足情報をよろしく!
1.タワー・サイド・メモリー
甘くよりそう頃はよくここまでとばした
ポートピアも終わればただの夜に戻って
あの娘は急にはしゃぎ出すの
おしゃれしたのも悲しくって
出典:「タワー・サイド・メモリー」松任谷由実
オープニング曲の舞台は神戸。ひとりの女の子の、過ぎ去りし日の恋が歌われる。
え~と(検索中)・・・ポートピアは、1981年に開催された「神戸ポートアイランド博覧会」の事ですね。
そんなイベントが開催されていた頃。このアルバムが発売されたその当時は、まだレコードやカセットで聴いている時代だから、レコードのA面B面の概念が存在する。この1曲目から5曲目の「守ってあげたい」までがA面。A面が特にいいんだよ。
2.街角のペシミスト
8時のロッカー 袋をかかえ
彼女はみんなとスタジオで別れる
少し濃いめにメイクを直し
なぜか足がむくあのディスコ
出典:「街角のペシミスト」松任谷由実
僕は六本木の街角をイメージして、この曲をずっと聴いてきた。
東京都内のディスコ、やっぱり六本木が一番多かったんですかね?
だと思うよ。この数年後、僕が東京で暮らしはじめた頃は、もうディスコからクラブに変わっていく時期だったけどね。
この歌の主人公はタレントかダンサーの女性みたいですね。
都会と故郷、喧噪と孤独・・・そんな相反するものが午前一時の空に溶けていく。でも、田舎の中学生の僕なんかが、なぜか都会の女に感情移入して曲をきいていたという(笑)。
娘たちはやがて
踊りすぎた金曜日を
卒業してゆく
出典:「街角のペシミスト」松任谷由実
3.ビュッフェにて
窓辺に運ばれた紅茶がゆれています
思い出たどるうちに冷たくなってしまった
もう少しで誕生日ね
たずねてゆけないけれど
城下町の消印でカード出すわ
出典:「ビュッフェにて」松任谷由実
都会を離れ、女性同士で旅をしているよ。車窓に山の雪を見送りながらどこかの城下町へ。主人公は傷心の女性みたいだね。
※城下町は「金沢」らしいです。
そしてその現実と非現実をつなぐのが一通の絵ハガキっていう頼りなさもいいよねえ。スマートフォンとWiFiで一瞬に元カレとつながったりなんて無粋だよ。
昔の友達は 云わなくても知っている
ビュッフェへ景色を見に
ひとり席を立ったわけ
出典:「ビュッフェにて」松任谷由実
4.夕闇をひとり
あのひとが残していった全てを
私はしまっておくわ
どんなに離れても いつか恋をしても
ときどき抱きしめて泣くでしょう
出典:「夕闇をひとり」松任谷由実
「街角のペシミスト」、「ビュッフェにて」、「夕闇をひとり」は、もちろんそれぞれ独立した曲だけど、どこか歌詞の内容もつながっている感じがするんだよね。
「夕闇をひとり」では、女性は完全に一人になってしまいました。
別れた男に未練を持つ。いまどきそんな女はいないと最近の若い女性は云うかもしれない。でも、僕はきっとそんな女性もいると思うよ。
いや、いる。少なくとも、僕や槇原敬之などの心の中に住む女性は、昔のまま別れた恋人を想い続けている。
くまちゃんもマッキーも男ですよ!
なんですかそれ・・・(苦笑)。
5.守ってあげたい
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日暮れまで土手にすわりレンゲを編んだ
もう一度あんな気持ちで夢を形にして
So you don’t have to worry, worry
守ってあげたい
他には何ひとつできなくてもいい
‘Cause I love you ‘Cause I love you
出典:「守ってあげたい」松任谷由実
A面の最後はうって変わって、心が温かくなるような内容のこの曲。シングルヒットした名曲だよ。原田知世をはじめ、多くのアーティストがカバーしている。
同じ夕暮れの情景でも、「夕闇をひとり」と「守ってあげたい」の夕暮れではずいぶんと印象が違う・・・。
中学生の僕も、恋人の事を守ってあげたい情熱はあったが、いかんせん、肝心の恋人がいなかった・・・。
6.カンナ8号線
カンナの花が燃えて揺れてた中央分離帯
どこへ行こうか待ちどおしかった日曜日
(中略)
想い出にひかれて
ああ ここまで来たけれども
あの頃の二人はもうどこにもいない
出典:「カンナ8号線」松任谷由実
環状8号線、そして中央分離帯で揺れるカンナの花。ユーミンの歌はこういう身近な風景の中に隠れた、手つかずの意外な情景を上手に切り取ってくるよねえ。
それがアーティストの感性ってやつですね。え~と(検索中)・・・環状8号線は東京の有名な道路。カンナの花とはこういう花です。
カンナは真夏の炎天下、大きな葉の間から鮮やかな花を元気に咲かせます。現在の品種の多くは、1850年ごろからアメリカ、フランス、イタリアなどで、さまざまな原種間で交配を繰り返して作出された品種で、ハナカンナと呼ばれています。花が大きく、花色も変化に富んでいます。また、葉色が美しい品種も多く、赤や黄色の縞斑、白のはけ込み斑、銅葉など多彩です。
地下に根茎をもつため、土壌の乾燥に強いですが、一方で根が水につかるようなところでもよく育ちます。特に実生系の品種は、鉢を水につける腰水灌水が可能で、真夏の水やりが楽にできます。
出典:www.shuminoengei.jp
この人気曲も、そういう幸せだった二人の季節を思い出す歌。
7.手のひらの東京タワー
愛したらなんんでも手に入る気がする
今は世界中が箱庭みたい
出典:「手のひらの東京タワー」松任谷由実
キラキラと光る、小さな宝物を手のひらで転がしているような感じの、静かな曲。
神戸ポートタワーにつづいて、今度は東京タワーです。
これも多くのアーティストにカバーされてるよね。今井美樹のカバーとか好き。
8.グレイス・スリックの肖像
みんなここに来て
哀しいプレイをして
さまよう渇いた日々をなぐさめて
出典:「グレイス・スリックの肖像」松任谷由実
え~と(検索中)・・・グレイス・スリックさんとは・・・?
グレイス・スリック(Grace Slick, 1939年10月30日 – )は、アメリカ合衆国のシンガーソングライター、画家。ジェファーソン・エアプレイン、スターシップの元メンバー。イリノイ州エヴァンストンの生まれ。
出典:ja.wikipedia.org
↓グレイス・スリックのソロアルバム(1973年)。肖像画のジャケットですねえ。
音楽仲間と一緒に演奏していた学生時代、楽器を演奏するだけで言葉がなくても一つになれたあの頃・・・そんな時代を回想するみたいな? 若き日を懐かしむ歌。
またまた過去に思いを馳せる歌です。このアルバムのコンセプトなんでしょうね。
僕の中では、サザンオールスターズの「Ya Ya(あの時代を忘れない)」や竹内まりやの「五線譜」と同じカテゴリーに入いる。大好きな曲だね。
グレイス・スリックの名前をカタカナで検索すると、ユーミンさんの情報ばかりヒットします。「グレイス・スリック」さんのような、こういうキーワードを攻めてくるところもユーミンさんの凄さですよねえ。
9.グループ
過ぎ去った季節
あなたは陽気な学校一の遊び人
私とあなたと 彼女と彼とで
笑ったカフェテリア
出典:「グループ」松任谷由実
なんだかんだいっても昔の仲間との再会を待ちわびる、そんな喜びが溢れるような、明るい調子の曲。
このアルバムには、「昔の友達」「昔の仲間」がよく登場しますね。
哀しい曲調にせよ、明るい調子の曲にせよ、過去との再会がこのアルバムのテーマってことだね。
10. A HAPPY NEW YEAR
A Happy New Year!
今日の日は ああどこから来るの
陽気な人ごみにまぎれて消えるの
こうしてもうひとつ年をとり
あなたを愛したい ずっとずっと
出典:「A HAPPY NEW YEAR」松任谷由実
静かな曲調だけど、未来への希望が溢れる曲でアルバムは終わる。
さあ、このアルバムを聴きながら、平成の東京にさよならを云いにいくよ。
平成の東京にさよなら~昨日の僕に会いに行く旅
10代の終わり、僕は上京した。羽田空港から親戚の家へと向かうバスの中で、ヘッドホンでユーミンの曲を聴いていたっけ。すっかり暗くなった高速道路を走る。巨大なビル群を抜け、車窓を流れる光の筋、青白く無機質なコンクリートの壁がやけに大きく見える。田舎とまったく違った風景を眺めながら、期待と不安が入り混じっていたのを思い出すなあ。
あの時、何の曲を聴いていたかは覚えていないけど、なんとなくこのアルバム『昨晩お会いしましょう』だったような気もする。
そして今回もこのアルバムを聴きながら、飛行機に乗るんですね。
あれから30年。街も変わったし、僕も変わったけど、心の中の風景がどう変化したのかしないのか・・・確かめてくるよ。
結局、何しに東京に行くかは教えてくれないようです(苦笑)。
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