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[Reissue] ランナウェイ・ウィズ・デル・シャノン|デル・シャノン
ロック史に残る名曲「悲しき街角」を含むデル・シャノンの傑作デビュー盤!
デビュー曲にして全米ナンバーワンに輝いた「悲しき街角」をフィーチャーしたデル・シャノンの記念すべきファースト・アルバム(61年)。ロック史に残る名曲を含む代表作でありながら、日本盤CDで入手困難な状況が長いこと続いていたため、今回の紙ジャケット仕様での復刻は、ロック・ファンやオールディーズ・ファンにとって見逃せないものといえる。エルヴィス・プレスリーとの競作となった「マリーは恋人」も必聴だ。ボーナス・トラックとして「悲しき街角」のヒット・シングル・ヴァージョンや貴重なシングルB面曲を追加しているほか、アルバム本編のステレオ、モノの両ヴァージョン(日本ではともに初CD化)を収録したコンプリート・コレクション!
解説:木村ユタカ出典:merurido.jp
デル・シャノン「悲しき街角(Runaway)」、これぞオールディーズの魅力!
※木村ユタカ氏の記事より
いまから58年前にあたる1961年4月24日は、全米シングル・チャートでデル・シャノンの「悲しき街角(Runaway)」が1位を獲得した日だ。ここから4週間も首位の座を守った大ヒット・ナンバーにして、デル・シャノンの代名詞ともいえるこの名曲が、彼にとっての記念すべきデビュー・シングルだった。僕は昔から1950年代から60年代にかけてのロックンロールやアメリカン・ポップス、総称して“オールディーズ”と呼ばれる音楽が大好きで、かれこれ40年近く聴き続けているが、このデル・シャノンほど歌い方がユニークな人には出会ったことがない。そして、この「悲しき街角」には、デビュー作にしてすでに彼のユニークな個性が凝縮されていたのだ。
若者なら誰もが一度は胸に抱く喪失感や逃避行をテーマにした「悲しき街角」では、歌の内容が主人公の感情を高ぶらせる部分<I wah-wah-wah-wah-wonder>や<Why, why, why, why, why she ran away>にさしかかると、デル・シャノンは突然、まるでサイレンのように唐突なファルセットを繰り出して、聴き手をビックリさせる。こうしたユニークなヴォーカル・スタイルこそが、このロックンローラーを唯一無二の存在とした決定的な要素だったのだ。
※木村ユタカ氏の記事より
もうひとつ、「悲しき街角」のユニークな点に、サウンドの面白さがある。この曲をデル・シャノンと共作しているのは、彼の友人でキーボード奏者のマックス・クルックという人物だが、そのクルックが弾くミュージトロンは、シンセサイザーの前身楽器と呼ばれるもの。間奏部分で鳴り響いているのが、そのミュージトロンなのだが、実は、このマックス・クルックこそが「悲しき街角」誕生のキーパーソンだった。あるとき、地元ミシガンのクラブで演奏していたデル・シャノンは、マックス・クルックがスタンダード曲「Blue Moon」でおなじみのコード進行にちょっと変化を加えて弾いているのを聴いて、すごく新鮮に感じ、それを発展させようとトライしてみた。サビでは、ハンク・ウィリアムズの曲を参考にして、マイナーからメジャーに転調してみると、素晴らしい楽曲が完成。これこそが「悲しき街角」だった。
その後もデル・シャノンは、「花咲く街角(Hats Off To Larry)」(61年全米5位)、「さらば街角(So Long Baby)」(61年全米28位)、「街角のプレイ・ガール(Little Town Flirt)」(62年全米12位)と、快調にヒットを飛ばす。ファルセットを織り交ぜることで歌に抑揚をつける、そのユニークかつダイナミックな唱法、「悲しき街角」でのミュージトロン、「さらば街角」でのカズーに代表されるサウンド・アレンジの斬新さ、そして、哀しみに満ちた詞世界……彼が生み出すヒット曲は、革新的で、疾走感に満ち、胸をかきたてる魅力にあふれていた。
ビートルズをアメリカに紹介した男デル・シャノン、そして、悲しき自死
出典:hitparade.ch
※木村ユタカ氏の記事より
デル・シャノンが果たしたもうひとつの功績に、ビートルズのレノン=マッカートニー作品をはじめて全米チャートにランクインさせたことが挙げられる。63年にイギリス公演を行なったデル・シャノンは、ロンドンのロイヤル・アルバート・ホールでビートルズと共演(シャノンがヘッドライナーを務めた)。そのときにビートルズが演奏した「From Me To You」をいたく気に入り、イギリス滞在中にさっそくレコーディングを行ない、帰国後にシングル発売したのだ。そのレコードは全米77位まで上昇。アメリカでビートルズ旋風が吹き荒れる半年以上前の出来事だった。
※木村ユタカ氏の記事より
80年代以降は、ジェフ・リンやトム・ペティのプロデュースでアルバムを制作するなど、多くのロック・ミュージシャンからリスペクトされたという点で、ロイ・オービソンとも並び称される存在だったデル・シャノン。彼の最期(90年)は自殺というショッキングなものだったが、「悲しき街角」をはじめとする一連の街角シリーズのヒット・ナンバーは、永遠に不滅なのだ。
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