【手塚治虫全部読む5】「シュマリ」ゴールデンカムイにも共通する北海道・五稜郭の埋蔵金伝説【1974年ビッグコミック】

サブカル
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1960年代以降、手塚治虫が少年誌・青年誌・大人誌に連載した長編(中編)マンガを順不同でこれから全部読んでいきたい。
今回は1974年、ビッグコミックに連載された「シュマリ」です。
名前:くま(♂)
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【手塚治虫全部読む5】「シュマリ」ゴールデンカムイにも共通する北海道・五稜郭の埋蔵金伝説【1974年ビッグコミック】

出典:tezukaosamu.net

1974年はミスター巨人、長嶋茂雄選手が引退した年。アニメ・マンガ・サブカル的には、「アルプスの少女ハイジ」「宇宙戦艦ヤマト」が放送された年であり、五島勉『ノストラダムスの大予言』が出版され、ユリ・ゲラーの超能力ブームもあった。
「シュマリ(1974/06/10-1976/04/25)」は、1974年から76年にかけて、ビッグコミックで連載された作品です。
シュマリという男の存在はかなり謎で、それが物語の魅力となっているのだが、最後に手塚治虫のあとがきを読むと、それは決して意図されたものではなかったようだな(苦笑)。
どういうことですか?
その件はまた最後に(苦笑)。しかし、またもや、読みごたえのある作品であった。
『シュマリ』は、明治初期の北海道を舞台にした大河ドラマです。

『シュマリ』は、明治初期の北海道を舞台にした大河ドラマです。
主人公は、野生的でありながら剣の腕も立つ男・シュマリ。彼はもともと内地人ですが、先住民のアイヌ人に敬意を持ち、親しく交流していました。ちなみに「シュマリ」とは、「キツネ」を意味するアイヌ語です。彼が北海道へ渡ってきた目的は、逃げた妻・妙(たえ)と、相手の男を探し出すこと。
しかし、その目的は、あっさりと物語の序盤で達成されます。そして、妙の心がすでに自分から離れてしまっていることを確信したシュマリは、彼女への想いをくすぶらせつつ、未開の地でさすらうように生きていくことになります。つまり、ここまではシュマリという一人の男の紹介エピソードであって、この後にシュマリが辿る波乱万丈の人生が、この物語のメインなのです。
隠匿された五稜郭の軍用金を偶然手に入れたことから、シュマリの運命はさらに大きく変わっていきます。騙されてネズミが大量発生する土地を買わされたり、殺されたアイヌ人の女性が連れていた赤ん坊、ポン・ションを育てるはめになったり、お尋ね者として収監され、炭鉱で強制労働させられたり・・・。

出典:tezukaosamu.net

つきつめると、結局はシュマリの純愛の物語だったのかなあ。消息を絶ったシュマリのラストも余韻が好きだ。
生涯を通して、文明開化していく日本を拒絶したまま一生を送ったのがシュマリさんです。
そうだね。不器用どころじゃないね。最後まで超人であり、変人だったね(苦笑)。最初はへんな赤ん坊だったポン・ションが、最後はシュマリとは逆に常識的な、新時代の日本人となっていったのが象徴的に感じた。
ですねー。

シュマリの元妻・妙(たえ)と炭鉱会社の太財社長、読者にとっておそらく二人とも、好意的に受け止められていたキャラクターだけに、この展開はつらい…(苦笑)。

出典:「シュマリ」手塚治虫

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【アイヌの宝】ゴールデンカムイにも共通する北海道・五稜郭の埋蔵金伝説

出典:ja.wikipedia.org

シュマリ読んでて、すぐにゴールデンカムイとの共通点を感じた。舞台や時代もそうだし、五稜郭の埋蔵金など設定も似ている。
え~と(検索中)…北海道にはいろんな埋蔵金の伝説があるようです。

八雲町にも埋蔵金伝説があります。この話は、ある程度有名な話です。明治元年に榎本武揚率いる徳川脱走軍が蝦夷地を平定しますが、翌年には新政府軍に攻めこまれ、五稜郭から敗走することになります。その徳川脱走軍が、鉛川鉱山に攻めて来るのではという噂が立ち、鉱山の責任者がアイヌの親子に頼み、雄鉾岳の麓に埋蔵金を埋めて桐の木を植えたという伝説です。その埋蔵金ですが、金銀塊20個であったり、50個であったり本によって違いますが、桐の木を植えたというのは共通しています。

出典:www.town.yakumo.lg.jp

ゴールデンカムイが好きな方は、ぜひシュマリも読むと楽しめると思うよ。
若い方にも手塚作品を読んで欲しいですよね。

関連エントリー→【ゴールデンカムイ】チンポ先生こと牛山辰馬(うしやまたつうま)が気になって仕方ない~喧嘩最強で女に弱くて、恰好よすぎだろ?(Memories of Chinpo Sensei)【堂々完結!】

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【シュマリの裏側】アイヌ問題を扱う困難、手塚治虫の悔恨

しかし、最後までシュマリという存在は謎だった。シュマリという言葉もアイヌ語だし、いかにも北の大地が育てた怪人みたいな本人の風貌なのに、出自は東京の設定なんだよね。それに、なんで北海道にきたかは描かれてるけど、不思議な力を宿すらしい右腕を隠している謎や、超人的に強い理由など、かなり曖昧なままに終わってしまった…。
そもそもシュマリさん、アイヌ人の設定じゃないんですね。

※あとがきより抜粋
 だから、主人公のシュマリは、はじめの構想ではアイヌと内地人の混血の青年だったのです。
 それが、どたん場で急に幕府のもと旗本になってしまったのは、アイヌ問題は、かるがるしく漫画やフィクショナブルな物語では取り扱えない、複雑で、重大な問題を含んでいて、しかも征服者である内地人であるぼくが、被害者であるアイヌの心情などわかるはずがないと悟ったからです。
 もちろん、この物語の予告を読んだアイヌのかたがたから、内容はきわめて注意をするように、と忠告されたことにもよります。
 それまでにたてていた構想をすっかりひっくり返し、白紙に戻して、タイトルだけ残してあらたに筋立てをするのは、おそろしくやっかいなことでした。そして、まずそれはもとの構想よりも上等な作品に生まれるはずがありません。
 そのうえ、連載をしつつも、編集部で何度もセリフの変更をされるのでした(編集部にも、アイヌのかたから注意があったそうです)。
 で、結局完成した作品がこれです。シュマリはたいへんあいまいな性格の、ぼく自身乗らないヒーローになりました。

出典:「シュマリ」手塚治虫

…と、作者本人が語っている。いろんな事情があって、シュマリのキャラクターがあんな風になったのだね。言われてみると、へんに頑固なところがあって、理屈にあわない行動も多かった気もする。しかし、手塚の力量でほぼ違和感なく楽しめたし、このあとがきを読まなければ気にはしなかったけどな。
手塚先生のお話では、シュマリの場合スポンサーの意向ではなく、「アイヌのかた」から注意があったとありますね。
まあ、そーいう縛りも含めてのエンタメ作品という見方もできるがな。それが良い方に向かう作品もあれば、そうじゃない作品もあるけど…手塚クラスの才能になると、本人は気に入らないところがあっても、そんな障害を乗り越え、力技で立派な作品として成立させてしまうのだよ。さすが!
修正が入らなければ、もっと違った展開もあったのでしょうか? それも見てみたかった気がします…。

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