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【手塚治虫全部読む5】「シュマリ」ゴールデンカムイにも共通する北海道・五稜郭の埋蔵金伝説【1974年ビッグコミック】
『シュマリ』は、明治初期の北海道を舞台にした大河ドラマです。
主人公は、野生的でありながら剣の腕も立つ男・シュマリ。彼はもともと内地人ですが、先住民のアイヌ人に敬意を持ち、親しく交流していました。ちなみに「シュマリ」とは、「キツネ」を意味するアイヌ語です。彼が北海道へ渡ってきた目的は、逃げた妻・妙(たえ)と、相手の男を探し出すこと。
しかし、その目的は、あっさりと物語の序盤で達成されます。そして、妙の心がすでに自分から離れてしまっていることを確信したシュマリは、彼女への想いをくすぶらせつつ、未開の地でさすらうように生きていくことになります。つまり、ここまではシュマリという一人の男の紹介エピソードであって、この後にシュマリが辿る波乱万丈の人生が、この物語のメインなのです。
隠匿された五稜郭の軍用金を偶然手に入れたことから、シュマリの運命はさらに大きく変わっていきます。騙されてネズミが大量発生する土地を買わされたり、殺されたアイヌ人の女性が連れていた赤ん坊、ポン・ションを育てるはめになったり、お尋ね者として収監され、炭鉱で強制労働させられたり・・・。
シュマリの元妻・妙(たえ)と炭鉱会社の太財社長、読者にとっておそらく二人とも、好意的に受け止められていたキャラクターだけに、この展開はつらい…(苦笑)。
出典:「シュマリ」手塚治虫
手塚治虫の「シュマリ」は手塚作品のなかでもバイオレンス描写がかなり激しい印象がある。永井豪先生の「バイオレンスジャック」からの影響があるのではと長年思っている。ちょっと似てるでしょ?#完全に一致では無いのだが何となく似てる #手塚治虫 pic.twitter.com/51Y6nzUWqP
— バクラ358 (@51131063400) October 14, 2024
【アイヌの宝】ゴールデンカムイにも共通する北海道・五稜郭の埋蔵金伝説
八雲町にも埋蔵金伝説があります。この話は、ある程度有名な話です。明治元年に榎本武揚率いる徳川脱走軍が蝦夷地を平定しますが、翌年には新政府軍に攻めこまれ、五稜郭から敗走することになります。その徳川脱走軍が、鉛川鉱山に攻めて来るのではという噂が立ち、鉱山の責任者がアイヌの親子に頼み、雄鉾岳の麓に埋蔵金を埋めて桐の木を植えたという伝説です。その埋蔵金ですが、金銀塊20個であったり、50個であったり本によって違いますが、桐の木を植えたというのは共通しています。
「ゴールデンカムイ」が好きになった人にお勧めの作品がいくつかありまして、まず手塚治虫の「シュマリ」は、おそらく参考にされていると思います。これは五稜郭の戦いから消えた軍用金3万両を巡る話です。刺青がキーになるのも同じ。 pic.twitter.com/B5h9E9t2St
— 路児矢 無庵 (@zonaha) January 28, 2024
ゴールデンカムイと、手塚治虫の「シュマリ」て同じ時代の話だよな。どっちもアイヌの黄金伝説だし、死んだはずの土方歳三が実は生きてたし。 pic.twitter.com/oWGLh1WM5g
— 石井★自演クックパッド★一郎 (@ganotagano) January 20, 2024
関連エントリー→【ゴールデンカムイ】チンポ先生こと牛山辰馬(うしやまたつうま)が気になって仕方ない~喧嘩最強で女に弱くて、恰好よすぎだろ?(Memories of Chinpo Sensei)【堂々完結!】
【シュマリの裏側】アイヌ問題を扱う困難、手塚治虫の悔恨
アイヌ差別表現問題──日本人は他民族を侵略・加害していない、という観念が背景に
公教育でアイヌ民族の文化や歴史を学ぶ北海道出身者でさえ、祖先は北海道の大地を「開拓」したと信じ込んでいる歴史認識の甘さ(古谷経衡)https://t.co/vLQHj7mgcw
— ニューズウィーク日本版 (@Newsweek_JAPAN) March 19, 2021
※あとがきより抜粋
だから、主人公のシュマリは、はじめの構想ではアイヌと内地人の混血の青年だったのです。
それが、どたん場で急に幕府のもと旗本になってしまったのは、アイヌ問題は、かるがるしく漫画やフィクショナブルな物語では取り扱えない、複雑で、重大な問題を含んでいて、しかも征服者である内地人であるぼくが、被害者であるアイヌの心情などわかるはずがないと悟ったからです。
もちろん、この物語の予告を読んだアイヌのかたがたから、内容はきわめて注意をするように、と忠告されたことにもよります。
それまでにたてていた構想をすっかりひっくり返し、白紙に戻して、タイトルだけ残してあらたに筋立てをするのは、おそろしくやっかいなことでした。そして、まずそれはもとの構想よりも上等な作品に生まれるはずがありません。
そのうえ、連載をしつつも、編集部で何度もセリフの変更をされるのでした(編集部にも、アイヌのかたから注意があったそうです)。
で、結局完成した作品がこれです。シュマリはたいへんあいまいな性格の、ぼく自身乗らないヒーローになりました。出典:「シュマリ」手塚治虫
手塚治虫がアイヌを描いた漫画『シュマリ』を読んで、複雑な読後感に包まれた。この漫画を描いた当時の手塚の葛藤が、あとがきに良く現れている。もしもこの漫画が存在しなかったら、『ゴールデンカムイ』はきっと存在しなかったと思う。 pic.twitter.com/fRggbDYJo4
— Shinya Watanabe 渡辺真也 (@curatorshinya) February 7, 2021
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