[レビュー] 村上春樹はなぜ僕らに刺さるのか?『職業としての小説家』~その創作活動について考える(その1)

サブカル
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カエルくんは村上春樹の小説で何が好きかな?
僕は『海辺のカフカ』が好きです。
そうなんだ。どうしてかな?
僕が最初に読んだ村上春樹の長編小説が『海辺のカフカ』だからだと思います。
なるほどね。
実は僕も、自分が最初に読んだ『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』が一番好きなんだよね。
高校一年のときだった。
興味深いですね。
二人とも、最初に読んだ長編小説が一番好きで、かつ、それは思春期だった。
村上春樹の小説を読み返すと、最初に読んだ時の自分を思い出して、切なくなるときがある。
昔好きだったヒットソングみたいですね。
そうかもしれない。
ところで、今日の二人の口調、微妙に村上春樹っぽくないですか?
あるいは。
ほら(笑)。
では!
今回は、村上春樹の『職業としての小説家』のレビューをやってみたいと思います。
『職業としての小説家』は2015年9月に発売された、長編エッセイです。
自伝的なエピソードも満載です。
内容はこんな感じだよ。
目次

第一回 小説家は寛容な人種なのか

第二回 小説家になった頃

第三回 文学賞について

第四回 オリジナリティーについて

第五回 さて、何を書けばいいのか?

第六回 時間を味方につける──長編小説を書くこと

第七回 どこまでも個人的でフィジカルな営み

第八回 学校について

第九回 どんな人物を登場させようか?

第十回 誰のために書くのか?

第十一回 海外へ出て行く。新しいフロンティア

第十二回 物語があるところ・河合隼雄先生の思い出

あとがき

村上春樹のお仕事には、長編小説、短編小説、エッセイ、翻訳・・・などがあります。
『職業としての小説家』はエッセイですね。
僕は、村上春樹の長編小説が発売になったらまっさきに購入して読むけど、エッセイに関しては、個人的にそれほど熱心でもないんだよね。
僕は去年のうちに読みましたよ。
今回、試しに図書館に予約してみたんだ。
図書館って人気ある本はすごく待たされるんだよ。
本が登録されてすぐに申し込んだつもりだったけど、数十人待ちでやっと先週借りて読み終わったよ。
ファンとしては邪道じゃないですか?
大人なんだから買いましょうよ(笑)。
ごめんね・・・。
でもね、読み終わって、これは発売されてすぐ買って読めばよかったなって思った。
気に入ったんですね。
うん。長年、村上春樹の創作について、こうじゃないかなと思っていたことがすっきりして良かったよ。
想像通りだったということですか?
おおよそ、思っていたような感じだった。
でも、もっと早く知りたかったなあ。
じゃあ、さっそくレビューを始めましょう。
この本は12の章に分かれているけど、最初は逆さまから見ていくよ。
逆さまからですか?
僕の印象としては、最初の方がより村上春樹の創作の秘密が語られているような気がしたから、逆から徐々に本質へ迫って行こう。
なるほど。
『職業としての小説家』
第十二回 物語のあるところ・河合隼雄先生の思い出
河合隼雄先生は超有名な心理学者だよね。著作も沢山あるし、晩年は文化庁長官とかもやられている。
ユングの研究が有名かな。なによりとてもユーモアのある人格者だったよね。2007年に亡くなられた。
ちなみにくまちゃんも大学で心理学を勉強しているはずです(笑)。
はずなんですけどね・・・(笑)。いやはや。
河合隼雄先生と村上春樹は対談本もありますよね。
村上春樹がアメリカの大学で教鞭をとっていた頃、現地で知り合ったそうです。
なんでも、村上春樹の奥さんが河合隼雄先生の本を沢山読んでいて、それで奥さんが背中を押したことが仲良くなるきっかけだったとか。
日本じゃなくて、アメリカにいるときに仲良くなったそうですね。
最初にあったときの河合先生の印象はとても暗くてぱっとしないものだったみたいね。
書いてありましたね。
でも、それは、河合先生がカウンセリングモードに入っていたからだったんだよね、たぶん。
初対面では聞き役に徹していたみたい。
本来はお話しも面白い方みたいですよね。
とにかく、村上春樹は河合先生が大好きみたいね。
「物語」というものの捉え方とか、河合先生と共感するところが沢山あるみたいですね。
『職業としての小説家』
第十一回 海外へ出て行く。新しいフロンティア
今でこそ世界の村上春樹だけど、アメリカを中心に、実際は売れるための地道な努力があったみたいね。
素人の想像だと、本の内容が良くて、ぱっと世界に広がったみたいな印象だったけど。
アメリカの出版界で、いかに地道に売り込んでいったかが描かれていますね。
これはちょっと意外だった。
でも、そうだよね。ちゃんと自分からアピールしないと、グローバルには活躍できないよね。
それと、村上春樹はあえて、海外のメディアと日本のメディアに対する接し方を変えていると書いていますね。
海外では講演会とかサイン会とかをやるもんね。
でも、それは日本人が誤解されないように、あえて声に出して主張してきた、ということらしいね。
でも、多少は、日本の文壇やメディアに、ネガティブな気持ちもあったんでしょうね。
そりゃあるでしょ。
昔は、村上春樹はオンナ子どもが読む小説みたいに言われていたんだから。
評論家のみならず、僕の身近でも酷評する人が沢山いたよ。学校の先生とかにもね。
世界で認められてから、日本での村上春樹に対する評価もなんか変わりましたよね。
村上春樹の評価の件もそうだけど、時代の流れで物事の評価なんて簡単に変わるんだなって思うよ。
当事者じゃないけど、戦中戦後で日本人の価値観がガラッと変化したことなんか、なんとなく想像できるもんね。
日本人の国民性でしょうか。
でも、その時代その時代の価値観が絶対じゃないということが、ある程度大人になると実感できますよね。
結局、周りに流されず、自分の感性を信じるということが大切だよね。
この本でもそういうことがたびたび主張してありますよね。
まったく、やれやれ、だよ。
やれやれ、ですね。
さて(笑)。
「その2」に続きます。

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出典 (株)スイッチ・パブリッシング http://www.switch-pub.co.jp/murakami/

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