【1990年代】夜明け前の弱すぎる光に…もう一度、向き合え!(by #ozkn)~Netflix映画『ボクたちはみんな大人になれなかった』(原作:燃え殻)

サブカル
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小説も映画も、思うところあって保留していたのだが、オザケンが「向き合え」と言ったのでこのお正月休みに映画をみた(笑)。
燃え殻さん原作の映画『ボクたちはみんな大人になれなかった』ですね。

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オザケンが「向き合え」と言ったので

出典:iamOzawaKenji

あれです、逆に、見てください、オリーブ世代の方。向き合え。笑

出典:iamOzawaKenji

見たら絶対泣くし、感動するの目に見えてるんだもの。Netflixに再加入すればすぐ見れるから、いつみようかと迷っていたところにオザケンのこのツイート。
「オリーブ世代の方。向き合え。笑」だそうです。

『ボクたちはみんな大人になれなかった』予告編 – Netflix

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2022年1月、映画『ボクたちはみんな大人になれなかった』に向き合ってみた

出典:www.fashion-press.net

きっと、この映画をみた多くの40代・50代の男性は、ほぼ同じ感想だと思う。とこかくこれは…僕らに共通する話だった。
ふむふむ。

もちろん小説だから、創作部分が多い。だが、あの時代の匂いだとか、流れていた音楽だとか、空気みたいなものは、本当のことを入れたかった。僕が人生で最初に書いた小説で、きっと最後の小説になると思っていたからだ。
たとえば物語の根幹となる出来事、人物は創作だったりする。逆に、読み飛ばしても構わない場面、構わない登場人物、大体の人にとって記憶に残らない会話に、本当のことをたくさん書いた。僕の人生のほとんどは、読み飛ばしても大丈夫な、忘れてもさして問題のない人と言葉と経験で出来ている。
あるときまではそれが嫌で、ばからしくて、自分の人生に真剣に向き合えなかった。「三十代半ばまでに、年収が一千万を越えなかったら、そんな奴はクズだね」と知り合いのイベント会社の社長が酒の席で、確かに言ったの覚えている。僕がこの小説を書いたのは、四十代に入ってからだ。その社長の言葉を借りれば、クズが決まったあとに僕はこの小説を書いた。
クズが書いた小説は、ありがたいことに人から「ベストセラー」と呼ばれるようになる。それでもまったく浮かれることができなかったのは、その社長の「年収一千万を越えなかったら、そんな奴はクズだね」という言葉のおかげだったかもしれない。ベストセラー作家と呼ばれても、さして儲からないし、先の保証もない。人生は一冊で変わることはなかった。今日も僕はドトールに行って、「大きさはどうしますか?」と店員に言われ、「L、いやMで」と微調整しながら生きている。でも、あの制作会社の社長が、もしまた酒の席で同じような話をしたら、「取るに足らないと、いまこの瞬間思っていることや人が、自分の人生のすべてだったと思う日が来るんです」と僕は全力で言い返すと思う。小説にも書いて、劇中でも使われた、ほとんどの人にとってどちらでもいい言葉を、僕はお守りみたいに両手で抱きかかえるようにして生きている。
劇中、伊藤沙莉さんの声でそれが再生されたとき、タイムスリップしたような感覚に襲われた。僕がその言葉を投げかけられた場所は原宿の喫茶店だった。クーラーがやけに効いていて、店内には僕たちふたり以外誰もいなかった。カルキ臭いお冷に口をつけた彼女が、ポツリと言う。
「君は大丈夫だよ、おもしろいもん」
僕が今日まで何とか騙しだましやってこれたのは、言った当人もきっと忘れてしまったであろうそんな言葉だ。それは人からみれば、あまりにもさりげない、記憶に残らない言葉かもしれない。よそ見をしていても構わない場面、構わない登場人物、記憶に残らない会話。僕の人生のほとんどは、そんな言葉と出会いと経験で出来ている。この映画を観た人が、そんな自分の中で眠っていた記憶を、やり過ごしていた出来事を思い出してくれたら、それ以上に嬉しいことはありません。

出典:www.bokutachiha.jp

エピソードの詳細は違えど、みな似たような経験をして1990年代を生き残ってきた。そして、僕の人生の中にも、伊藤沙莉(さいり)らしき、通り過ぎて行って女の子がたしかにいた。
ところで伊藤沙莉さんって、『全裸監督』でヘアメイクさん役でわりと目立っていた女優さんですよね? 役どころは全く違いますが、最近大活躍ですね。

関連エントリー→【生きていればいい】30年数年の刻(とき)を経て、Netflix『全裸監督2』が終わらせた黒木香の物語【ナイスです!】

9歳でデビュー。コンプレックスを乗り越えて、いま思うこと。

伊藤沙莉、初のフォトエッセイ。
9歳でデビュー。コンプレックスを乗り越えて、いま思うこと。

子役時代からのコンプレックスや、生い立ち、家族のこと、地元のこと、そしてこれから始まる「女優第2章」について……。
本人書き下ろしのエッセイに加えて、写真もすべて撮り下ろし。
1年の歳月をかけて推敲を重ねて綴った原稿には、これまで誰にも見せたことがない伊藤沙莉がいます。

子役時代からの全出演作品を一挙公開するフィルモグラフィーも収録。
18年間の膨大な作品群の中から自ら選んだエポックメイキング作品への本人解説も掲載。

<私が私であるのも私になったのも 私の人生に関わってくださった人たちや 見てきたもの、聞いたこと、 そんな色んなのがあってこそだなと。

なので、
そんな色んなのをチョロっとお時間頂いて
チラッと盗み見て頂けたら幸いです。

私事ですが、こんなんできました。
感謝を込めて。(本書「はじめに」より)>

出典:Amazon

●伊藤 沙莉:いとう さいり 1994年5月4日生まれ 9歳の時にTVドラマ『14ヶ月~妻が子供に還っていく~』でデビュー。NHKよるドラ『いいね!光源氏くん』やTVアニメ『映像研には手を出すな!』の浅草みどり役、映画『タイトル、拒絶』、『ホテルローヤル』『十二単衣を着た悪魔』など、TV、映画、CMと大活躍。2020年、第57回ギャラクシー賞個人賞、東京ドラマアウォード2020助演女優賞、2021年、第45回エランドール賞新人賞、第63回ブルーリボン賞助演女優賞を受賞。6月からパルコ劇場「首切り王子と愚かな女」に出演。

出典:Amazon

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【初体験】みんなの思い出の中にいる、それぞれの伊藤沙莉(さいり)

出典:www.bokutachiha.jp

僕の伊藤沙莉は、地方から上京してきて、大学の近くの安いアパートに住んでいて。彼女は先輩とつきあっていたけど、僕と彼女はこっそりお互いのアパートを行き来しあって…なーんてね。
それは創作ですか?実話ですか?
さあね?(笑) 僕のもうひとりの伊藤沙莉は、音楽が好きで自分もでギターやドラムなど楽器をやっていた。人と同じことが嫌い、顔は可愛いけど服装も趣味も変わった子だった。そして、僕が飲みに誘うとほぼ100%断ることはなかったんだよなあ。あの子は今、どうしてる?
なかなか青春してるじゃないですか。
僕のもうひとりの伊藤沙莉は…世田谷の東京農業大学の近くに住む、体育系の大学に通う女の子で、夜のバイトしていた。で、仕事が終わると、僕が深夜バイトをしていたビリヤード場、誰もいないバーカウンターに座って、僕のバイトが終わるの待ってくれた。アパートの階段の下で、はじめて触ったあの柔らかい胸の感触は忘れない…。ああ、記憶がよみがえってくる(笑)。
くまちゃんの伊藤沙莉は何人いるんですか!(笑)
僕のもうひとりの伊藤沙莉は…。
もう、いいですから!(笑)

出典:映画『ボクたちはみんな大人になれなかった』Netflix

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燃え殻さんについて

出典:danro.bar

燃え殻さん、僕より4つ下か、まあ同世代。
ツイッターでのつぶやきからスカウトされて小説を書かれたんですよね。その言葉のセンスも凄いですが、それを見抜いて小説を書くように促した編集者の方も凄いですよね。

1973年生まれ。小説家、エッセイスト、テレビ美術制作会社企画。WEBで配信された初の小説は連載中から大きな話題となり、2017年刊行のデビュー作『ボクたちはみんな大人になれなかった』はベストセラーに。同作は2021年秋、Netflixで森山未來主演により映画化、全世界に配信予定。エッセイでも好評を博し、著書に『すべて忘れてしまうから』『夢に迷って、タクシーを呼んだ』『相談の森』がある。

出典:www.shinchosha.co.jp



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【そのうち読むかも】マンガもあるらしいです

出典:natalie.mu

ちなみにマンガもあるらしい。そのうち。
まだ連載がはじまったばかりのようですね。

連載が始まったばかりで、まだ単行本は出ていないようです。(2022年1月現在)

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【新潮文庫】最後にあらためて小説…燃え殻『ボクたちはみんな大人になれなかった』

出典:Amazon

小説は出てすぐ買ったがまだ読んでない。おそらく映画より、小説の方がさらにエモいと思われる。そろそろ読むか? まずもって目次みただけで、オザケンの曲のタイトルやフレーズが散りばめられていて、心がざわめく。
小説の目次はこちらです。小説はもともと「cakes」で発表されたようですね。

出典:cakes.mu

目次

最愛のブスに”友達リクエストが送信されました”
暗闇から手を伸ばせ
ビューティフル・ドリーマーは何度観ましたか?
好きな人ってなに?そう思って生きてきたの
そしてまたサヨナラのはじまり
「海行きたいね」と彼女は言った
1999年に地球は滅亡しなかった
ギリギリの国でつかまえて
東京発の銀河鉄道
雨のよく降るこの星では
東京という街に心底愛された人
あの子が知らない男に抱かれている90分は、永遠みたいに長かった
ワンルームのプラネタリウム
ボクたちはみんな大人になれなかった
君が旅に出るいくつかの理由
やつらの足音のバラード
永遠も半ばを過ぎて
必ず朝が夜になるように
バック・トゥ・ザ・ノーフューチャー

出典:Amazon

ビューティフル・ドリーマーは僕も10回以上みた。これから僕の人生で、初めて出会った女の子から「ビューティフル・ドリーマーは何度観ましたか?」とか、聞かれることもないんだろうなあ。
120%ないでしょうね(苦笑)。そういう感情をまた味わいたいなら、思い出の中か、燃え殻さんの小説の中で、堪能してください。
燃え殻さんのエモい文章が、読み手の記憶をかきむしる

発売一ヶ月で七万部以上売れている、新しい書き手による小説。ある43歳の男の過去の恋愛と仕事についての記憶の物語です。なぜ売れているのかというとエモいからだと思います。

エモいとは「エモーショナル(情緒的、叙情的、感情的)である」を縮めた言葉です。だったら略さずそう書けよと思うかもしれないけれど「エロい」と「エロチックである」が違うように「エモい」と「エモーショナルである」もけっこう違う。エロいもエモいも、対象を褒めたり論じたりするための形容詞ではなく、そう感じた人の心の中で起きていることなのです。

インターネットによくある言葉は自分の感情を垂れ流しているだけ。床屋政談的に世を憂う人も、その根っこは個人的なナルシシズムや被害者意識で、それが党派性によって拡散されたり炎上したり。出版されてる文学やエッセイにも書き手の自己愛や立場で書かれているものがあり、読む人も自分の立ち位置を確認しているだけの本が、とりあえずの売り上げが見込めるから多く出版されます。予定調和の一方的エモーションは、ひとつもエモくなくて、もうエモくない文章に私は飽きました。

ところが本書の著者・燃え殻さんもネットから現れた人なのに、そのツイートは(内容は勤め人としての日々のボヤキなのに)胸に迫るメロディや詩のように、読む人が忘れていたその人の感情の記憶をかきむしったのでした。彼のサービス精神はエモかったのです。やがてウェブ媒体「ケイクス」の編集者が彼に声をかけ小説っぽいエッセイを書かせた。いくつかの出版社からの「ツイートを本に」との安直な提案を燃え殻さんは断り、早くに声をかけてきていた文芸編集者の「小説を書いて本にしましょう」との言葉に応えて、時間をかけてケイクスの連載を改稿、追憶の感触を表現した美しい小説に仕上げた。それがこの本です。

エモい歌声や歌詞は、理屈とか歌い手の承認欲求を押しつけてはこず、こちらが過去に感じたことがある情動を想起させます。糸井重里さんが本書を「長い曲を聴いているみたいだ」と評したのは、そういうことでしょう。

私は仕事(セックスの撮影)が終わって女優も男優もスタッフも帰ってしまったホテルのベッドに一人で寝っ転がって読みました。書かれている燃え殻さんの実体験や創作と私の仕事は何の関係もないのに、さっき仕事中に殺していた感情が湧き立って涙が出てきました。似ていないのに、自分の過去の恋愛のことも思い出しました

評者:二村ヒトシ(週刊文春 2017.09.07号掲載)

出典:Amazon

元恋人に友達申請

初めてフェイスブックを使ったとき、「これは過去への回覧板だ」と感じた。登録した途端、先月会ったばかりの人から30年近く音信のなかった人まで、私の過去に関わった数百の知人から「友達リクエスト」が届いて驚いた。そこは、油断するとすぐに「あの頃」に引きずりこまれる世界だった。

燃え殻の初の小説『ボクたちはみんな大人になれなかった』は、主人公のボク43歳が、かつての恋人にフェイスブックの友達申請をするところからはじまる。彼女は〈間違いなくブス〉だったが、ボクにとっては唯一、〈自分よりも大切な存在〉だった。こうして過去とつながってしまったボクの、彼女との出会いから別れまでがハードボイルド風に、短い文章の連なりでリズミカルに描かれる。

1995年、アルバイト求人誌の文通欄をきっかけに彼女と知りあったボクは、生まれて初めて頑張りたいと思う。誇れる学歴も職歴もない若者は奮起し、六本木にあるテレビ業界末端のあやしい会社の社員となって必死で働く。偏った美意識を持つ彼女だけが心の支えだった。

二人が別れる99年までつづくボクの回想は、どこを読んでもセンチメンタルな気分に満ちている。彼女がいない人生にも慣れ、妥協や挫折も呑みこんでどうにかやりすごしてきたのに、フェイスブックで封印していた記憶が蘇り、フェイスブックのなかった時代の、冴えないけど必死だった「あの頃」に引きずりこまれたからだ。「あの頃」にくらべたら、たしかに今は燃え殻かもしれない。

この時代の中年男が喜ぶ、瘡蓋を剥ぐような抒情にあふれた恋愛小説である。

評者:長薗安浩(週刊朝日 掲載)

出典:Amazon