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【孤高】谷口ジローの歩みを辿る
だが、日本での評価はそれでも低い、もっともっと評価されてよいマンガ家だね
谷口 ジロー(たにぐち ジロー、男性、1947年8月14日 – 2017年2月11日)は、日本の漫画家。鳥取県鳥取市出身。
鳥取商業高校を卒業後に京都の繊維会社に就職したが、漫画家を目指して1966年に上京、石川球太のアシスタントとなり漫画の技術を学ぶ。1971年に『嗄れた部屋』(『週刊ヤングコミック』)でデビューする。その後、上村一夫のアシスタントを経て独立した。以後、関川夏央ら漫画原作者と組み、青年向け漫画においてハードボイルドや動物もの、冒険、格闘、文芸、SFと多彩な分野の作品を手がける。絵はジャン・ジロー(メビウス)やフランソワ・シュイッテンなどのバンド・デシネの作家に強い影響を受けており、インタビューでは「日本で一番影響を受けているんじゃないか」と語っている(ティム・リーマン『マンガマスター』美術出版社、2005年)。
↓2018年10月に発売されたガイドブック。
↓【孤独のグルメ(1994 – 1996年、2008年 -)】現在の日本ではこれが一番有名。しかし、連載当時、こんな原作を谷口ジローに描かせるなという声もあったという。ちなみに、僕が初めてキンドルで購入した、記念すべき最初の電子書籍もこの一冊でした!
マンガ家・谷口ジローはもっともっと幅広いジャンルの作品を数多く残してる
今日は、今読むべき、谷口ジロー作品を探してみたい
てゆーか、僕自身が、『坊っちゃんの時代』といくつかの作品しか読んだことないから、良い作品を発掘したいだけなんだけどね
え~と(検索中)・・・
↓【散歩もの(2003 – 2005年)】「孤独のグルメ」と同じく、久住 昌之原作の「散歩もの」
世界のジロー、日本のジロー~バンドデシネ(BD)の本場で認められた日本人
出典:de-page-en-page.over-blog.com
そしてそのバンドデシネ(BD)界には、メビウス(ジャン・ジロー)という巨匠がいた
そして奇しくも、メビウスの本名は「ジャン・ジロー」、谷口ジローも本名も「ジロー」・・・まさにどちらも「ジローさん」!
谷口ジローは生前、日本よりフランスのほうが有名なんだよと、はにかみながら語ったものだ。多少は自嘲もあったのかもしれない。谷口ジローが日本よりもフランスで人気だというのは、マンガ好きにはよく知られた話だろう。実際、ある時期以降の谷口のマンガは軒並みフランス語に翻訳され、作品によっては日本よりはるかに多くの売り上げを誇っているらしい。一説によれば、『遥かな町へ』は日本の10倍(!)だとか。古い作品も最近になって翻訳されているし、日本では品切れまたは絶版だが、フランス語訳は簡単に手に入るという作品もあるようだ。谷口が亡くなったときには、生前の業績を称え、その死を悼む報道が、マンガのニュースサイトどころか、『ル・モンド』、『リベラシオン』、『ル・フィガロ』、といった有力紙を含めたフランスの各種メディアで大々的になされた。
残念ながら未完の作品で、今じゃちょっと入手困難みたいだが・・・
↓【イカル(1997年)】なんとメビウス(ジャン・ジロー)と谷口ジローの共作が存在する!
↓日本のマンガとは影響を与え、与えられる関係のバンド・デシネ(BD)
↓メビウス(ジャン・ジロー)も2012年に亡くなった・・・。
【アクション・ハードボイルド】初期の谷口ジロー
※「ジャンプ・スクエア」2008年 6月号掲載のインタビュー記事より抜粋
SQ:ちなみに、リスペクトされていた作家さんはいますか?谷口:当時は、やっぱり劇画系かな。手塚さんとか少年誌から入って、だんだん劇画の方に行って、貸本時代にすごく影響を受けたんで。さいとう・たかをさんとか永島慎二さんとか、えーと平田 弘史さん? 古い人ばっかだけどね。あと…白土三平さんや、水木しげるさんとかも。
SQ:すごいビッグ・ビッグネームたちばかりですね。
谷口:うん。そういった影響を受けまして。だから少年マンガじゃなく、青年マンガを描きたいと思ったのかな。でもアシスタントに行ったところは石川球太さん…少年誌の作家のとこだったんですけどね。
劇画調だよね
この頃から、関川夏央氏、狩撫麻礼氏らとコンビで作品を残している
↓【事件屋稼業(1980年)、新事件屋稼業(1982 – 1994年)】「坊っちゃんの時代」と並び、関川夏央、谷口ジローコンビの代表作。
↓【青の戦士(1980 – 1981年)】狩撫麻礼、谷口ジローのコンビ作品は現在入手しづらい。
↓【K(1986年)】遠崎史朗原作、山岳もの。
↓【海景酒店(1986年)】1986年発売の作品集。関川夏央、谷口ジローの黄金コンビの原点の作品も収録されている。
↓【地球氷解事紀(1987-1991年)】未完となったSF。
【転換点】僕が好きな谷口ジロー『坊っちゃんの時代』
僕はこれで谷口ジローと出会ったからね
関連エントリー→【近代史】僕らの苦悩はあの時代から始まった~ 関川夏央・谷口ジロー 『カラー愛蔵版「坊っちゃん」の時代』(2010年発売)を読む
↓【坊っちゃんの時代(1987 – 1996年)】第12回日本漫画家協会賞優秀賞(1993年)、第2回手塚治虫文化賞マンガ大賞(1998年)を受賞した。
この作品を通して、また谷口ジローの可能性が広がっていった
※「ジャンプ・スクエア」2008年 6月号掲載のインタビュー記事より抜粋
谷口:だから、アシスタントも、こういう絵は自分では描きたくないって。で、全然違う絵になっていきます(笑)。私のこういう作風は、長年の過程ですけど、実はBDの影響は大きいんです。30年前、アシスタント時代にイエナという洋書店で初めてオールカラーのBDを見て、衝撃を受けたんですね。そこに、日本のマンガじゃない絵があった。リアリティを感じたのかな。物語は読めなかったけど、とにかくこれはちょっと真似しなきゃと思って、メビウスなんかをけっこう、模写しましたね。そういう過程もあるから、自然にヨーロッパの読者に見やすい絵になったのかなーって風には考えますけど。どうだろうなあ。SQ:模写や勉強をされて、だんだん絵も変化されていったんですね。
谷口:そうですね。ジャン・ジローの「ブルーベリー」っていう西部劇のシリーズがあって、それを見たとき、この絵ならなんでも表現できると思ったんですよ。ユーモアもアクションも、日常の話も描けるなって思った。すごく幅の広い絵柄だなと思って、勉強はしました。日本の作家にもいろいろ影響を受けましたよ。池上遼一さん、村野守美さんとか。
SQ:それは30代ぐらいですか?
谷口:そうね、30代かな。その頃は原作者と組む仕事も多かったから…、あの~いろんな原作者と仕事しますと、出来上がってくるストーリーが全然違うじゃないですか。すると、今まで描いてる絵じゃ、これは表現できないなというのもあって、試行錯誤して変えていきました。それで幅が広がっていったのもあると思います。
池上遼一氏、村野守美氏の名前も出てきた
関連エントリー→【復刻求む】村野守美(むらのもりび)の作品をもっと読みたい!
↓谷口ジローにかなり影響を与えたと思われる、ジャン・ジロー(メビウス)の作品。
↓漱石の話を再編集したカラー愛蔵版、素晴らしい企画です!
【動物もの】犬好きのバイブルという「犬を飼う」
※「ジャンプ・スクエア」2008年 6月号掲載のインタビュー記事より抜粋
SQ:犬が欲しいって気楽に思ったりしますが、改めて読ませていただくと、ホントに覚悟して飼わなきゃダメだなと思わされます…。谷口:じゃあ、効果があったということかな(笑)。
SQ:一見お涙ちょうだいになりがちな話ですけど、淡々と克明に描かれているので、動物を飼うのはこういうことだと、リアルに伝わります。犬は大事だけど自分の生活もあるし、全部が全部犬の側には回れない、でもちゃんと看てあげたい。だからイライラする気持ちもすごく伝わりました。
谷口:いやー、もっとイライラしましたけどね(笑)。現実はあんなもんじゃないです。早く死なせてやったほうがお互い楽かと思ったこともありました。犬にとってはどうしたらいいのか。そこが一番悩みましたね。安楽死という方法をとらないのかって非難もあるだろうし。犬がかわいそうじゃないかとか、意見はいろいろ分かれるところだから。
↓【犬を飼う(1992年)】名作と評価の高い”動物もの”の作品群を、3冊に再編集した(第1巻「犬を飼う と12の短編」、第2巻「ブランカ」、第3巻「神の犬」)決定版選集。
↓『犬を飼うと12の短編』(小学館)収録作品の一部を抜粋し、エッセイを加えて再編集した新装版
【飛翔】谷口ジロー、世界へ
※「ジャンプ・スクエア」2008年 6月号掲載のインタビュー記事より抜粋
――日本マンガとは大きく異なる、フランスのBDですが、谷口先生は数々の賞もとられて、向こうでは日本人作家として一番有名と聞きます。書店でも物凄い扱いで。谷口:そうみたいですね…。私も一昨年か、行った時は驚きました。日本では考えられないような新聞広告を入れてくれるし、書店でも一番目立つ所に置いてくれてる(笑)。
SQ:フランスでそれほど高く評価されるのは、ご自分で分析されるには?
谷口:それは、よく聞かれますけどね(笑)。答えられないというか、自分ではわからないですよね。
SQ:やはり絵なのかな…と思いますが。絵の雰囲気がフランスの人にはすごくなじみやすいっていうか。あっちの作品はリアル思考なとこがあるので、読みやすく、入りやすいのかなと。
谷口:うん…、絵ですかねえ。
その方が「通」っぽいでしょ?(笑)
恥ずかしながら、読むのはこれから
↓【歩くひと(1990 – 1991年)】海外でも評価された「歩くひと」、連作短編集。
↓【遥かな町へ(1998年)】「遥かな町へ」は海外での評価が特に高い。
↓舞台をフランスの田舎町に変えて映画化もされた。
↓フランスで制作された谷口ジローのドキュメンタリー。
Dans les pas de Jirô Taniguchi, L’homme qui marche
【円熟期】ハイレベルな良作を淡々と描き続ける
出典:Amazon
※「ジャンプ・スクエア」2008年 6月号掲載のインタビュー記事より抜粋
SQ:ちょっと原作者さん方についての印象も伺いたいんですが。たくさんの方と組んでらっしゃるので。谷口:いやあ、私が語るのは…。
SQ:夢枕獏さんは、先方から熱くオファーされたのは有名ですね。
谷口:獏さんはそういう経緯がありましたね。狩撫麻礼さんとか関川夏央さんとか矢作俊彦さんなんか思い出すと…。懐かしい人ばっかりですね。
SQ:久住昌之さんは?
谷口:やりやすかったです。でも、人がどうこうだったとかではなく…やっぱり原作者とやるのは難しいことなんですよ。大げさに言えば戦いだったね。相手をぎゃふんと言わせなきゃいけないって気持ちでいつも描いてたから、あの~、けっこう疲れることもありました(笑)。
SQ:そうとう、切磋琢磨されたんですね。
谷口:最初は、関川さんとやった作品が多かったけど、そのあと狩撫さん…の原作をやったときに、これは今まで描いてた絵じゃなく、もっと激しい絵にしなくちゃいけないなとか、いろんなこと考えてやってたから、そういうしんどさですね。いろんな人たちと仕事をやったおかげで、今があるのかなと思います。
↓【人びとシリーズ「けやきのき」(1993年)】内海隆一郎氏の珠玉の連作「人びとシリーズ」から厳選して作画した名品。
↓【父の暦(1994年)】自らの故郷、父親を題材にした作品、海外でも評価が高い。
↓【神々の山嶺(2000 – 2003年)】夢枕獏原作、2016年に映画化もされた。
↓【シートン(2004 – 2006年、2006年 – )】山岳ものと動物ものの結晶?言わずと知れた「シートン動物記」をマンガ化。
※「ジャンプ・スクエア」2008年 6月号掲載のインタビュー記事より抜粋
――今後も前途洋々に見える谷口先生ですが、過去のお話も伺いたいです。若い読者さんも気になるところだと思うんですが、修行時代の話もぜひ…。谷口:私の作品に、若い読者いるかどうかわかんないねえ(笑)
SQ:います!というか若い読者にぜひ読んでほしい! 高校を卒業されて、一度会社勤めをなさって、それからマンガ家を目指されて。…きっかけはどういったことですか?
谷口:その頃の話を描いた本が、小学館で出たばっかりです。『冬の動物園』っていうの。
SQ:あ、今年の3月ですね。
谷口:はい、そこに体験が3分の1くらい入っているんですよ。会社勤めの時代から、辞めてアシスタントになるまでの時代を描いてます。ストーリー自体は90%作り話だけど、マンガ家になった経緯として…。実際は、会社には8か月くらい勤めたかな?
SQ:8か月でお辞めになってしまい?
谷口:辞めました(笑)。すぐやんなっちゃって。いやになったというか、勤めてようやく気づいたんです、自分が何をやりたいのか。それまではマンガ家になるなんて全然考えられなかったんですね、30年40年前っていうのは、方法さえわかんなかった頃だから。だから、アシスタントっていう方法が一番早くて、たまたま、マンガ家を知ってる友人がいたから、うまく東京に出てこられたんですけど。それがなければ、どうなっていたかわかんないです。
SQ:じゃあ、十代の頃から絶対マンガ家になろうとは…。
谷口:いやいや、なかったです。マンガ家って職業が何をするのか、どういう世界かさえわかんなかった。石ノ森章太郎さんとか、手塚治虫さんが活躍してたから、マンガの描き方自体はだいたいわかるんだけれども、なる方法は…。賞に応募するっていう手段も、当時はなかったからね。少年サンデーか少年マガジンくらい。
↓【冬の動物園(2005 – 2007年)】自らのアシスタント時代と重ね会わせて描く、昭和40年代の“漫画家青春物語”。
2017年2月絶筆!「たったひとりでもいい 何度も、何度でも本がボロボロになるまで 読まれるマンガを描きたい。」
たったひとりでもいい
何度も、何度でも本がボロボロになるまで
読まれるマンガを描きたい。
あきることなく何度も開いて絵を
見てくれる漫画を描きたい。
それが私のたったひとつの小さな望み。
※『いざなうもの』単行本の巻末に印刷されている肉筆文より
紙の宇宙の中で、永遠に生き続けるのだ!
↓【千年の翼、百年の夢(2014年)】晩年の作品。ルーブル美術館を舞台に幻想的な世界へいざなう。
↓谷口ジローの未発表絶筆『いざなうもの 花火』(原作:内田百けん)を含む珠玉の作品集
↓谷口ジローが最後に遺した未完の長編